家庭的だけどバブリーなAちゃんとの出会い
転職が決まり、その仕事を辞めて新しい仕事が始まるまで、
少しの休みになった3月。
次の職場は4月からだったので1ヵ月位の休みでした。
この時僕は29歳で、あと半年くらいでもう30歳です。
彼女はいないし、次の職場はまた男社会のところで、
出会いはおそらく皆無と分かっていました。
この1ヶ月を遊んでテキトーに過ごしてしまったら、
新しい職場で慣れない数年は、
仕事に集中してしまうのは見えていました。
でも僕は結婚したかったし、
子供も欲しいと思っていました。
今動かなかったら、
婚期が大幅に遅れるのは間違いない
なんとかしなきゃ。
と、そんな焦りを感じていました。
1ヶ月でゼロから彼女を作って、結婚を前提に考えていくとなると、
選択肢はマッチングサイトしかありませんでした。
最後に使っていたのは3年前。
いい思い出もあるけど、
あまり良い終わり方ではなかったマッチングサイト。
しかし、これしかないか
と腹をくくりました。
今から、自然な出会いを期待していても、
現状は何も変わらずに、
忙しさにかまけて数年経つのがオチと分かっていたから、
踏み出しました。
そして再び登録したマッチングサイト。
今回は、前回みたいに
「彼女できたらいいな」
というモチベーションではなく
「1〜2年で絶対結婚する」
という、もう夢ではなく、タスクだ
というくらいのやる気と焦りです。
しかも、1ヵ月以内にできれば彼女を作りたいと思っていました。
だから、前回みたいに写真なしで数撃つ作戦は効率が悪いと思い、
写真ありの子で絞っていきました。
ルックスが良いに越した事はありませんが、
ふつうに恋愛できそうと思える子なら、
もう片っ端からメールを打ちました。
そのメールも、相手のプロフィールを熟読して、
そこに話が膨らみそうな要素をふんだんに入れて、
返信がしたくなるメールになるよう、
めちゃくちゃ力を込めました。
ただ、その時はもう名古屋ではなく、
静岡の実家に帰ってきていて
静岡で探すとなると、まず登録している子の数自体が少なかったです。
名古屋の時は、本当に乱れ打ちできるくらいでしたが、
静岡は数日で打ち切ってしまうくらいで、
後は新規登録の子を待つくらいでした。
最終的に、この1ヶ月で本当にデートにこぎつけられたのが、
これから話すAちゃんだけでした。
Aちゃんからの返信
マッチングサイトにのっていた写真は、
ウサギと一緒に写っているキラキラ加工写真
だったので、すごいガーリーでお嬢様系なのかなという印象の子でした。
プロフィールを読んでいると、
お菓子作り、料理好き
など、家庭的な子なのかなと思いました。
今回は、本気で結婚する人を探していたので、
できれば家庭的な子の方がいいと思って、メールした子でした。
送ったメールとしては、プロフィールに載せていた
お菓子、料理、旅行好き
というところで、自分も同じというアピールで送りました。
僕
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はじめまして、はるきんといいます。
プロフィールを見せてもらい、
すごく気が合いそうだなと思い、
メールさせていただきました。
僕も、一人暮らしが長かったこともあり、
たまにクッキーとか、ケーキを焼いてみたり、
自炊でいろんな料理を作るのが好きです。
この間も、マクロビの料理教室に行って、
アップルパイの作り方を教えてもらったりしました。
Aさんは、どんなお菓子や、料理を作るのが好きですか?
写真に載っていたマーライオンの写真も楽しそうでいいですね!
僕も、卒業旅行の時にシンガポールに行って、
マーライオンを見ました。
シンガポールの街はいろんな民族の人たちが集まっていて、
面白い街ですよね。
海外はよく行くんですか?
お話ができたらうれしいです。
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と言う感じのメールを送りました。
数日後に、Aちゃんから返信がもらえました。
やっぱり写真のある子は、他の男性からのメールも多いし、
まして静岡は母数が少ないですから、
競争率が高いと思いました。
そんな中で返信をもらえて、
すごくテンションが上がりました。
Aちゃん
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メールありがとうございます。
私もはるきんさんのプロフィールを見させていただいて、
気が合いそうな方からメールをもらえて、うれしいです。
私がよく作るのは、はるきんさんと同じみたいですが、
クッキーとかケーキをよく焼きますよ。
うさぎを飼っているんですが、
この子でも食べられるお菓子作りにハマっています。
私の作ったお菓子を食べてくれる人もいないので。。
シンガポール行かれたことがあるんですね!
私も家族と一緒に行って、すごく楽しい国でした。
ぜひいろいろお話できたらうれしいです。
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こんなふうに、自分の投げた質問に丁寧に答えてくれて、
文章もマジメで良い子なんだろうなと思いました。
業者っぽい感じも全くなかったので、とても嬉しいメールでした。
僕
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返信ありがとうございます!
お話ができて、とてもうれしいです。
クッキーを焼いてもらえるそのウサギが羨ましいですね。
今度、ぜひ食べてみたいです。
僕の焼いたクッキーも食べてみますか?
味は保証できませんが。笑
家族でシンガポールへ行かれたんですね、いいですね。
家族旅行はよく行かれるんですか?
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Aちゃん
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お返事ありがとうございます。
私のクッキー食べてくれるんですか?
はりきって作りますよ♪笑
もしお会いできることになったら、
その時には持っていきますね。
はるきんさんのクッキーもぜひ食べてみたいです。
交換できたら楽しそうですね♪
家族旅行はよく行きますね。
両親が旅行好きなので私と妹もくっついていく感じです。
はるきんさんは旅行は好きですか?
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僕
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クッキー作ってくれるんですか?!
ぜひ食べてみたいです♪
僕のクッキーは本当に、そんな自信はないですが、
Aさんのクッキーが食べられるのならがんばります。笑
ご家族で仲がいいんですね♪
僕も家族ではたまに旅行に行きますね。
国内の温泉が多いですが。
僕も兄妹がいるんですが、歳が離れているので、
最近は家族みんなで旅行というのが難しくて、
何年も行ってないですね。
もう甥と姪がいるおじさんなんですよ。
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Aちゃん
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それでは、クッキー交換しましょうね♪
約束ですよ?笑
温泉旅行もいいですよね。私も好きです。
ご兄姉と歳が離れているんですね。
何歳くらい離れてるんですか?
もう甥と姪がいるなんてうらやましいです。
何歳くらいの子たちですか?
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僕
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兄とは12コで姉とは8コ離れていますね。
これだけ離れていると、
なかば一人っ子みたいに思う時もありました。
兄弟ゲンカにもならないですね。笑
甥と姪は、小学校の低学年と幼稚園だったと思います。
子供は好きですか?
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Aちゃん
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そんなに離れているんですね!
それは確かに、兄弟ゲンカにもならないですよね。
逆に可愛がられたんじゃないですか?
子供は好きですね。
今は薬剤師をしていますが、
もしこの仕事以外の仕事だったら、
保育士さんの仕事をしたかったですね。
はるきんさんは子供は好きですか?
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・・・・・。
こんな感じでたくさんメールをしながら、
できるだけ早く会えるように少しずつ、かつ、攻め気味に、
会えるような方向に話を進めていきました。
また、子供が好きかどうかなど、
結婚してからの生活を想像できるような話も、
積極的に聞いていきました。
クッキーの話のノリからしても、
これは会いたいといっても会ってもらえそうだな
と思ったので、早い段階で、
僕
「実際にお会いして話してみたいです。」
と正直に伝えると、
Aちゃんも
「ぜひ」
と言う返事をくれました。
Aちゃんはお酒が好きだったので、
まず飲みにいきましょうということになり、
夕方に待ち合わせて会うことになりました。
待ち合わせ当日
約束の日の当日は、久しぶりに初めて会う女の子との待ち合わせで、
かなり緊張しました。
メールで話していくうちに、
けっこうなお嬢様っぽいという印象だったので、
自分の服装も、小ぎれいなシャツにジャケットなどにして、
いつも以上に気をつかって選びました。
待ち合わせは、沼津駅の南口ロータリーで18時でした。
お店は、Aちゃんの行きつけがあると言うとのことで、
お任せしました。
ドキドキしながら改札を出ると、
すでにAちゃんが待っていてくれました。
写真の通りの子だったのですぐにわかりました。
この日は3月のなかば位で、もうだいぶ寒さも和らいできていて、
Aちゃんの服は、
淡いピンクのスプリングコートに、
明るい茶色のパンツという春らしい服でした。
髪は薬剤師さんだからなのか、
黒髪で、セミロング位の髪を後ろできれいにまとめていました。
目鼻立ちははっきりしていて、
目がパッチリとした可愛らしい印象のルックスでした。
背は僕より少し低いかなといったくらいでした。
Aちゃんのところに駆け寄り、
僕
「すみません、Aさんですよね。お待たせしました。
はるきんです、はじめまして。」
Aちゃん
「あ、はじめましてAです。」
と、初めて聞くAちゃんの声は想像していたより少し低めで、
おしとやかな中に知的できれいな響きのある声でした。
全体からかもし出されるオーラからして、
良い所のお嬢さんという感じのステキオーラがすごかったです。
服も多分、かなり良い洋服なんだろうなと思いました。
僕
「待ちましたか?
もう少し早く来ればよかったですね。」
Aちゃん
「いいえ、さっき来たところなので、
大丈夫ですよ。フフフ。」
僕
「よかったです。では、いきましょうか?」
Aちゃん
「いきましょう。こちらです。」
僕
「はい。今日はもう結構あったかいですね。」
Aちゃん
「ほんとですね、私寒いのが苦手で、
早く春が来てほしくて服だけでも春を先取りしました♪」
僕
「僕も寒いのは苦手なので、早くあったかくなってほしいです。
春らしい洋服で、気分も明るくなりますね。」
・・・・。
と世間話をしながら仲見世のアーケード街を通って、
その中のレストランに入りました。
結構おしゃれなお店で、
自分だけなら入りづらいくらいのお店でした。
カウンター席に案内されて、隣り合わせで座りました。
Aちゃんがコートを脱いで店員さんに渡すと、
彼女は白いニットセーター姿だったのですが、
これが割とざっくりと胸が開いているVネックで、
グラマーな体型の子だったこともあり、
ちょっとドキドキしてしまいました。。
飲み物は、彼女がグラスワインを頼んでいたので、
僕も同じものをお願いしました。
注文も小慣れた感じで、
さすが行きつけのお店だなと思いました。
グラスワインが運ばれてきて、まずは乾杯しました。
ひと口飲んでグラスを置くと、
Aちゃん
「そうだ!忘れないうちに…。」
と何やらゴソゴソとカバンから何かを出しています。
Aちゃん
「はい!約束のクッキーです♪」
と、本当に焼いてきてくれました。
かわいい小袋に入っていて、ラッピングも凝っています。
女子力高い…!
僕
「おお♪本当に焼いてきてくれたんですね!
ありがとうございます。じゃあ僕も。」
と、僕も差し出す。
えぇ、焼いてきましたよ、ちゃんと。
クッキーミックスですけどね。笑
卵と牛乳入れて混ぜて焼くだけです。
チョコチップなんか入れたりして。
ラッピングは家にあったおしゃれな紙袋で、
クッキー自体はラップで包むだけっていう。
女子力低い…。
Aちゃん
「え!本当に焼いてくれたんですか?!
うれしいです♪大事に食べますね。」
僕
「いやいや、そんな大したものじゃないですし、
お口に合うかどうか。」
Aちゃん
「フフフ、ありがとうございます。」
と、大事そうにしまってくれました。
本当に優しい子でした。
飲みながらなので、会話はけっこう弾んで、
海外旅行の話から始まって、
お互いの留学経験の話とかで盛り上がりました。
Aちゃんは海外の経験が豊富そうだったんですが、
僕は大学の卒業旅行で、
学生の貧乏旅行で行ったアジアの国々か、
イギリスに少し留学したことがあっただけなので、
話を合わせるのに必死でしたね。
話していくと、Aちゃんの家族はみんなお医者さんのようで、
それでAちゃんも薬剤師になったようでした。
両親が子離れしていないようで、
Aちゃんに何でも買ってくれるみたいでした。
父親が、
「車は絶対アウディでないと」
みたいな感じで、ディーラーで即決で買ってくれたそうです。
そのアウディもお気に入りのようで、
「やっぱアウディが1番いいですね♪」
と、ご機嫌なAちゃん。
やっぱり医者の金銭感覚は
庶民の自分とは全然違う…
と思いました。
海外旅行も数ヶ月に1回は行くみたいで、
1年に何回も海外なんて
自分にはバブル時代の話のように聞こえました。
ただ、話していて高飛車な感じでは全然ないし、
むしろすごく優しくて、ほんわかしたとてもいい子でした。
家庭環境的にそれが普通で、
僕とはただ常識のレベルが違うという感じでした。
話していて、Aちゃんが僕に対して
好感を持ってくれてるのかなと言う感触があったので、
このまま僕も積極的にアプローチしていけば、
お付き合いできる可能性はあるかもしれないと思いました。
でも、僕はこの時、結婚相手を本気で探していて、
試しに付き合ってみようという余裕がありませんでした。
もう、次に付き合う子とは結婚するつもりの覚悟でと決めていたのです。
もし、Aちゃんと結婚したら、
自分の年収よりはるかに高い年収の奥さんに、
両親も医者で、逆玉的なものになるかもしれませんでした。
しかし、それに僕は良いイメージを持つことができませんでした。
あまりに金銭感覚や、常識がかけ離れてしまっている人とでは、
普段の買い物とか、生活でのストレスがすごそう
と思ってしまいました。
すごいいい子で、この出会いとしてはチャンスだったのかもしれません。
でもこの時、僕は他の子を探そうと思ったのです。
イタリアンレストランでの会話は本当に楽しく、
たまにカウンターの中のマスターも入ってきて、盛り上がりました。
マスターも海外が好きで、
シンガポールとかイギリスの話に入りたくて
ウズウズしていたみたいです。笑
料理も美味しくて、大満足してお店を出ました。
食事も終わり、二人で駅へ
ほろ酔いでAちゃんとともにまた仲見世を通り、
沼津駅まで戻ってきました。
Aちゃんとは、方面が違ったので改札のところでお別れです。
僕
「今日は、本当にありがとう!すごく楽しかったです。」
Aちゃん
「こちらこそ!すごく楽しかったです♪」
僕
「あと、クッキーもありがとうございました。
美味しくいただきます。」
Aちゃん
「あ、私も大事にいただきます♪」
僕
「それじゃあ、また。」
Aちゃん
「うん、またね。新しいお仕事もがんばってね!」
僕
「うん、ありがとう!がんばります。」
と言う感じで別れました。
自分の電車をホームで待っていると、いい匂いが。。
立ち食いそば、大好きなんですよね。
そのためにわざわざ駅の中にに入りたいくらい。
沼津駅のそばのつゆがまたおいしいんです。
つい、食べてしまいました。
うんまっ!やっぱこれだね!!
あぁ、つくづく自分は庶民レベルだなぁと思いました。
その後もAちゃんと何度かメールで話しましたが、
4月から新しい職場の研修が始まりました。
研修所の方針で、携帯を没収されたこともあり、
そのまま自然消滅のような形で、連絡を取らなくなりました。
マッチングサイトに、あんなお嬢さんもいるんだなと思いました。
あれだけいい家柄なら、
お見合いとか、紹介とか沢山ありそうな感じなのに。
やっぱり、価値観というか、
自分と似ている感じの子でないと、
背伸びして疲れてしまうなとも思いました。
もう研修が始まってしまったけど、
あきらめずにまだ探し続けるぞ!
と決意した僕でした。